法定相続情報証明制度とは
相続手続きでは、ご本人が亡くなった事実と相続人を確定するために、亡くなった人(被相続人)の出生当時から死亡までの全ての戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本・戸籍謄本)と相続人全員の戸籍・印鑑証明書などを準備することになります。こうして収集した戸籍等の書類は、被相続人の不動産の相続登記、銀行や証券会社など金融機関での相続手続きの際に、原本の提出を求められます。
ところで、被相続人が複数の市町村に不動産を所有していたり、複数の金融機関に預貯金口座を有している場合には、一式の戸籍では順番に提出をしては手続きを済ませて返却を受け、次の手続きに提出するといった具合に、なかなか同時進行で手続きが進められず、時間もかかるため、場合によっては期限切れの戸籍等を取り直したり、また、なかには戸籍等の原本を返却してもらえない場合もあり、再度戸籍等を取り揃えなければならないこともあります。だからといって、戸籍をあらかじめ数セット取得するのも、その分取得にかかる費用が比例して増加してしまいます。
そんなとき、法定相続情報証明制度を利用して法定相続情報一覧図の写しを必要な通数取得しておけば、相続登記、預金の払戻し、相続税の申告などの各種相続手続の際に、戸籍謄本の提出に代えて利用することができ、大変便利です。
法定相続情報証明制度の流れ
1 必要書類の収集
- 亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍・除籍・改製原戸籍謄本
- 亡くなった人の住民票除票
- 相続人全員の戸籍謄本又は抄本
- 相続人全員の住民票
- 申出人(相続人)の本人確認書類
2 法定相続情報一覧図の作成
亡くなられた方及び戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図を作成します。
3 申出書提出
登記官が上記1、2の内容を確認し、認証文付きの法定相続情報一覧図の写しが交付されます。
※申出ができる法務局
- 亡くなった人の本籍地を管轄する法務局
- 亡くなった人の最後の住所地を管轄する法務局
- 申出人(相続人)の住所地を管轄する法務局
- 亡くなった人名義の不動産を管轄する法務局
※申出人の代理人になれる者
- 法定代理人(未成年者の親権者など)
- 資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)
法定相続情報証明制度の注意点
- すべての金融機関、証券会社、生命保険会社、行政機関が法定相続情報証明一覧図に対応しているわけではなく、従来どおり除戸籍謄本等の原本を提出するように求められる場合があります。事前に、提出先が法定相続情報証明一覧図に対応しているか確認しておく必要があります。
- 数次相続(例えば、父と母が順次亡くなった場合)が発生している場合、1つの一覧図にまとめることはできず、亡くなった人ごとに一覧図を作成する必要があります。
- 一覧図には、遺産分割協議の結果や相続放棄の事実は記載できません。したがって、遺産分割協議書や相続放棄申述受理証明書等の書類は別途必要となります。
- この制度は、戸籍のみで確認できる法定相続人を一覧図に記載する制度です。そのため、相続人の中に相続放棄をした人がいる場合でも、その人は相続人と記載され、相続放棄により、新たに相続人となる次順位の相続人がいたとしても、その人は一覧図に記載されません。
- 推定相続人の廃除があった場合、その旨が戸籍に記載されるので、廃除された者は、一覧図に記載されません。
- 一覧図には相続人以外の親族は記載できません。したがって、亡くなった人の法定相続人だけが記載され、すでに亡くなっている相続人や、相続人ではない親族は一覧図に記載できません。
- 戸除籍謄本の提出が必要のため、亡くなった人や相続人が日本国籍を有していない場合には、この制度を利用することはできません。なお、申出の際に提出した戸籍謄本等は、一覧図の写しの交付と同時に返却されます。
- この制度の申出人となれるのは、亡くなった方の相続人(数次相続人を含む)です。
- 一覧図は、申出の年の翌年から5年間、法務局に保存されます。保存期間内であれば、当初の申出人は、一覧図の写しの再交付を受けることができます
(当初の申出人以外の相続人が再交付を受けたい場合は、当初の申出人からの委任状が必要です)
当事務所にご依頼いただくメリット
当事務所では、煩雑な戸籍謄本の収集から法定相続情報一覧図の作成、申出および一覧図の写しの取得までをご依頼いただけるだけではなく、(1)社会保険労務士として、未支給年金・未支給保険給付、遺族年金(国民年金・厚生年金)、遺族補償給付・葬祭料(労災保険)、埋葬料(健康保険)などの請求手続きを (2)司法書士として、不動産の相続による名義変更の登記はもちろんのこと、銀行や証券会社での相続手続きなど、ご遺産の承継をトータルでサポートする遺産承継業務もご依頼いただけますので、是非ご検討ください。
もちろん、法定相続情報証明制度の利用だけのご依頼も可能です。
※戸籍の収集のみのご依頼は、お引受できません。
報 酬 表(消費税別)
業 務 |
報酬(目安) |
法定相続情報証明のみ単独 |
25,000円※1 |
相続登記手続の依頼が伴う場合 |
5,000円※1 |
銀行預金の相続手続の依頼が伴う場合 |
9,000円※1 |
年金請求等社会保険労務士業務の依頼が伴う場合 |
9,000円※1 |
遺産承継業務の依頼が伴う場合 |
無料 |
戸除籍謄本・住民票等の取得代行(※2職務上請求) |
3,000円/1役場 |
※1 数次相続や代襲相続など複数の相続が発生している場合は、3,000円(税別)割増となります。
※2 司法書士や社会保険労務士等の限定された国家資格者については、業務に関係する範囲で、職権で戸籍等を取得することできる「職務上請求」という権利が認められています。
その他の実費費用
項 目 |
手数料・費用 |
戸籍謄本 |
450円/1通 |
除籍謄本・改製原戸籍謄本 |
750円/1通 |
住民票・住民票除票(又は戸籍附票) |
300円/1通 |
定額小為替発行手数料(郵送請求時) |
100円/1通 |
郵送料・交通費 |
実費相当分 |
※戸籍等の取得代行をご依頼いただく場合には、上記費用をご請求させていただきます。